後払い現金化は違法?支払いが滞ったらどのタイミングで弁護士や司法書士に依頼する?

後払い現金化は、クレジットカード会社や消費者金融の審査に落ちてしまう人でも利用可能で、即日現金化できると注目を集めている現金化方法です。

しかし、一方で、「後払い現金化は違法」「手数料が高い」「取り立てが厳しい」などともいわれています。

後払い現金化の違法性と、後払い現金化でトラブルが起きた場合に弁護士や司法書士に依頼するタイミング、その際の注意点について紹介します。

後払い現金化が違法といわれる理由

後払い現金化が違法といわれる理由

後払い現金化の仕組みと手数料

後払い現金化(ツケ払い)の仕組みは、現金化業者が運営するショッピングサイトで、現金化したい金額に合わせて業者が指定する商品を購入し、購入した商品について口コミ投稿するとその宣伝報酬として、あるいは購入特典などの名目で即日キャッシュバックされるものです。

商品代金の支払いは、1ヵ月程度先に設定された支払い日までに、業者の銀行口座に振り込むことになっており、購入代金からキャッシュバック額を引いた金額が業者の手数料となります。

クレジットカード払いではないため、信用情報がブラックな人でクレジットカードが作れない人でも利用できるというメリットがありますが、業者は商品代金を踏み倒されるリスクを抱えることになります。

そのため、手数料はクレジットカード現金化などと比べるとかなり高く設定されています。

後払い現金化は違法?

後払い現金化は次のような点から違法性があると考えられます。

商取引に見せかけた融資である

この後払い現金化は商取引の形式を取りながら、現金を必要としている利用者に即日現金化するいわば融資と同じであると考えられます。

金融庁でも、後払い現金化は形式的には商品の売買等であるが、その経済的な実態は貸付けであり、業としてこれを行うと貸金業に該当するおそれがあるといっています。

そのため、貸金業の登録を受けずに後払い現金化を行なっている業者は、違法な闇金融業者として貸金業法に抵触し、罰則の対象になるとしています。

闇金レベルの高い利率である

後払い現金化が商取引に見せかけた融資であるとすると、現金化業者が取る手数料は利息とみなされ、出資法で定めた年利20%の上限金利を遥かに超え出資法にも違反します。
闇金レベルの利率になることもあり、後払い現金化は実質的な闇金といわれても否定はできないでしょう。

執拗な取り立てを行う

後払い現金化は、信用情報機関での審査がないのでブラックリストに載っている人でも利用できる代わりに、給与明細書や銀行口座の出入記録などを提出して定期的な収入があるか確認されます。

しかし後払い現金化は、既に消費者金融やクレジットカードのキャッシング、クレジットカード現金化などあらゆる方法で借金を重ねて多重債務に陥り、他に借金の手段がなくて手を出す人が大多数です。

そのため、いくら収入があっても返済先が多いため、支払えない確率は高くなっています。
現金化業者はそれを承知の上で後払い現金化に応じていますから、支払いが滞ればすぐに執拗な取り立てが始まり、違法な手段を使ってでも回収しようとするでしょう。

自宅や勤務先への厳しい取り立てのほか、家族にも執拗に連絡してくるなど大きな被害に遭う可能性があります。

個人情報を悪用する

後払い現金化で利用者は、氏名、住所、電話番号、生年月日、勤務先などの個人情報や、給与明細、銀行の通帳のコピーなどを提出します。

現金化業者はこれらの顧客情報をまとめて『お金に困っている人リスト』を作れば、闇金業者に高く転売することが可能です。
こうして個人情報が悪用されると、自宅や勤務先に闇金から執拗な勧誘の電話がかかってくるといった被害に遭います。

これらのことから、後払い現金化は違法であるといわれています。

後払い現金化の前に「給料ファクタリング」という現金化の方法があったということを聞いたことがあるでしょうか。

給料日前にお金が足りなくなった時に、職場に給料を前借りするという方法があります。

この「前借り」を商売にしたものが「給料ファクタリング」です。

給料ファクタリング業者に次の給料を担保としてお金を借り、給料日に受け取った給料をそっくり業者に返済するもので、前借りできる金額は給料の支給予定額から手数料を引いた金額になります。

この給料ファクタリングは高い手数料や悪質な取り立てが問題となり、日本弁護士連合会(日弁連)が「給料ファクタリングは闇金が業態を変えたもの」として徹底的な取り締まりを求め、社会問題化しました。

これにより、給料ファクタリングの営業は立ち行かなくなりましたが、その代わりに誕生したのが後払い現金化といわれています。

現在、日弁連では「後払い現金化」も新手の闇金であるとして、後払い現金化に対しても徹底的な取り締まりを求め、関係官署との連携や相談体制の強化を行っていくと宣言しています。

後払い現金化、支払いを飛ばしても大丈夫?

後払い現金化、支払いを飛ばしても大丈夫?

警察や司法は、後払い現金化は違法と認識しており、手を出すのは大変危険です。

けれども他に金策の方法がなくて、最後の頼みに後払い現金化を利用してしまったら、

「支払い日に現金の用意が間に合いそうにない」

「取り立ての電話が職場にしつこくかかってくる」

「支払わないのは詐欺だから訴えると業者に脅かされている」

と、困った状態になる確率は高くなります。

また、これは闇金でもよく使う手口ですが、支払いができないことを見越して現金化させ、元金である商品代金の支払いはそのままにさせておいて、支払い延滞料という名目で利息だけを延々払わせて、利益を膨らませる業者もいます。

このようなトラブルに巻き込まれたら、どのように対処したらいいのでしょうか。

国民生活センターや消費生活センターに相談する

国民生活センターや消費生活センターに相談すれば、悪質な現金化業者への対応方法についてアドバイスしてもらえます。
また緊急性がある場合は弁護士などの専門家を紹介してくれます。
なお、国民生活センターは消費者庁が所管する独立行政法人で、消費生活センターは地方公共団体が設置する行政機関です。
国民生活センターでは、消費者からの相談を消費者ホットライン『188』で受け付けています。

警察に相談する

現金化業者が違法行為を行なっていれば、警察に相談して検挙してもらうことが可能です。
ただし、警察が捜査に乗り出すためには、違法な現金化業者であることを裏付ける証拠が必要です。
訴えたからといって即座に動いてくれない可能性もあり、すぐに脅迫や嫌がらせの被害を止めるのは難しい場合もあります。

法律の専門家を代理人に立てる

支払いのためにまた現金化をして、その支払いのためにまた現金化と、現金化を繰り返してしまうと、借金が膨らんで後戻りすることができなくなってしまいます。

そうなる前に、早めに弁護士や司法書士など法律の専門家に依頼して対処してもらうことをおすすめします。

警察に訴えたらなんとかしてくれるのではないか?と思われるかもしれませんが、後払い現金化は実質闇金であるとはいえ、商取引を装っているため証拠が掴みにくく、警察がすぐに動くことはほとんどありません。

その点、法律の専門家に依頼すれば即日対応も可能で、代理人となってそれ以降の業者との対応を任せられますので、業者との直接対決から解放され、職場や自宅への取り立てを止めさせることができます。

また、その商法が悪質で闇金とみなされた場合は、支払いを不要にする交渉もしてくれます。

代理人(弁護士、司法書士)に依頼するメリットとデメリット

依頼するメリット

  • 業者からの厳しい取り立てが止まる。
  • 悪質な嫌がらせが止まる。
  • 交渉次第では支払いをする必要がなくなる。
  • 家族や職場に内緒で金銭問題を解決できる。

デメリット

  • 即日対応ができない代理人もいる。
  • 解決すると報酬がかかる。

報酬は1社につき5万円前後といわれています。

これとは別に、依頼した段階で着手金がかかる場合もあります。

代理人が入った途端、業者が大人しくなる理由

あれだけ厳しい取り立てをしてきた業者が、代理人として弁護士や司法書士が入った途端、大人しくなるといいます。それはなぜなのでしょうか。

法律の専門家は、依頼主に対しての違法行為を止めない業者対応として、摘発して悪質行為を止めさせることができないか警察と協議したり、銀行に連絡して口座を凍結したり、携帯電話会社に働きかけて携帯電話を止めさせたりすることができます。

こうした対応をされると業者は商売ができなくなって廃業に追い込まれるだけでなく、摘発される可能性も出てくるので、代理人がついたとわかった途端、静かになります。

代理人(弁護士、司法書士)選びを間違えると取り立ては終わらない

ここで注意したいのが、弁護士や司法書士なら誰でもいいというわけではないということです。

代理人の選び方を間違えてしまうと、支払い地獄から解放されません。

「依頼したその日から取り立てが止まると聞いたのに、業者からの電話がまだかかってくる」

「『元金を支払って業者と和解しましょう』と、納得のいかない提案を代理人が提示してきた」

など、即時解決できなかった失敗事例もあるといいます。

後払い現金化に強い弁護士を選ぶ

それでは、どのような弁護士、司法書士を選べばいいのでしょうか。

  • 「即日取立ストップ」「即日対応」を確約している代理人を選ぶ。

弁護士事務所や司法書士事務所のホームページを見て、即日対応してくれるところを選びましょう。

小さい弁護士事務所の場合、即日対応が難しいこともありますので、すぐに取り立てが止まるかどうか確認してから依頼しましょう。

  • 後払い現金化や闇金問題への対応実績が豊富な代理人を選ぶ。

弁護士事務所にも、刑事事件専門の弁護士事務所、交通事故専門の弁護士事務所など、得意分野があります。借金問題、闇金問題が得意な弁護士事務所や司法書士事務所を選びましょう。

取扱件数が多いために、事務所の事務員にすべて任せているというようなところもありますので、弁護士や司法書士が責任を持って自ら対応してくれるところであることも確認しておく必要があります。

  • 初回相談無料、あるいは相談料無料の代理人を選ぶ。

お金に困っているのに、余計な費用をかけては意味がありません。

初回相談料は無料、あるいは相談料は無料としている代理人を選びましょう。

「着手金無料」「後払い可」「分割払い可」などで引き受けてくれる事務所もあります。

  • 現金化・闇金業者との交渉だけでなく、債務整理も得意としている代理人を選ぶ。

後払い現金化に手を出す人の多くは、もともと金銭問題を抱えて他に手段がなかったという人たちです。現在の取り立てや支払いをストップするだけでなく、自身が抱える金銭問題を解決できるよう債務整理にも詳しい代理人を選びましょう。

弁護士と司法書士の違いとは

依頼するのなら、司法書士より弁護士の方が安心なのでしょうか。

2002年4月に司法書士法が改正になるまでは、弁護士は裁判業務、司法書士は登記・裁判書面作成業務というように業務の役割分担が明確に決められていました。

しかし、司法書士法の改正により、100時間の研修を受けて代理業務ができるようになった認定司法書士は、140万円以下の民事事件、たとえば後払い現金化も含めた闇金問題の解決、過払い金請求、債務整理、個人間の金銭トラブルなどを扱えるようになりました。

大きな都市でなければ弁護士の数が少なく、しかもその中に金銭問題の経験が豊富な弁護士はあまりいないという地方都市は多いと思われます。

もし、1社140万円以下の案件であれば、金銭問題が得意分野ではない弁護士に依頼するよりも、経験豊富な司法書士に依頼した方が、解決が早いという場合もあります。

後払い現金化Q&A

後払い現金化の業者について気になる疑問点をまとめました。

後払い現金化を利用し、終えられた振込先口座に支払いをしようとしたら、銀行口座番号が違うようで振り込めません。どうしたらいいでしょうか?
指定された口座番号に振り込めないのは、次のような原因が考えられます。

  • 廃業した
  • 犯罪で摘発され口座が凍結された
  • わざと嘘の銀行口座を教えられた(理由については下記を参照してください)

業者名でネット検索して廃業したか、摘発されたかの情報が得られればいいのですが、もし無理な場合は国民生活センター、消費者センター、弁護士、司法書士などに相談してみましょう。

後払い現金化を利用した後、支払いをしようとしたのですが、業者が振込先口座を教えてくれません。放っておいていいでしょうか?
後払い現金化では、「業者が振込口座を連絡してこないから支払えないのだ。このまま支払わなくても問題ないだろう」というのは通用しません。
闇金にもよくある手口ですが、こうした現金化業者は利用客が支払いをしようとしても振込先口座を知らせず、わざと支払いを滞らせて「支払い遅延料」で利益を得ようとするのです。
どうしても連絡が取れない場合は放っておかず、国民生活センター、消費者センター、弁護士、司法書士などに相談してみましょう。
後払い現金化を利用して返済が滞り、現金化業者から悪質な嫌がらせをされて困っています。警察に相談したいのですが、違法なものに手を出した自分も捕まる可能性はありませんか?
先に説明した通り、後払い現金化が違法であるといわれるのは、現金化業者が貸金業法、出資法に違反し、違法な取り立てや個人情報の悪用をしているからです。
過去に利用者が罪に問われたとか逮捕されたという事例はありませんので、警察に相談してみましょう。
ただし、現金化業者の違法性を証明する証拠がないと、警察はすぐには動いてくれません。
警察への相談と併せて、国民生活センター、消費者センター、弁護士、司法書士などへの相談も検討してみましょう。

まとめ

後払い現金化が違法といわれている理由と、後払い現金化によるトラブルを解決したい時に選びたい最適な代理人(弁護士、司法書士)について解説しました。

支払いができなくなる確率が大変高い人が利用する後払い現金化は、高い手数料や厳しい取り立てがあるので、他の金策を考えてみましょう。

現在、後払い現金化に手を出してしまい追い詰められているのであれば、できるだけ早く金銭問題に詳しい法律の専門家に相談しましょう。