2017年4月、3大メガバンクの1つであるみずほ銀行が、個人向けカードローンの融資規制の強化を進めると発表しました。残りのメガバンク2つ(三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行)についても、規制を強化する方針を固めています。なぜ、メガバンクはカードローンの融資規制を強化したのでしょうか?
便利なカードローンが使えなくなる?カードローンの融資額の規制が3分の1に
今までは、カードローンを利用することで銀行のATMから簡単にお金を借りることができましたが、今後メガバンクの個人に対する融資額の規制が厳しくなることで、カードローンは使えなくなってしまうのでしょうか?
厳密にいえば、カードローン自体が使えなくなるのではなく、自身の支払能力に合った借り入れしかできなくなる、と言う方が正しいです。
これは、日本弁護士連合会などが、銀行がカードローンにより個人の返済能力を超えた金額を融資し過ぎていると批判したことで、借り入れ条件などの見直しが検討されたことによるものです。
では、なぜ銀行はカードローンで過剰な融資を行っていたのでしょうか。
その理由は、銀行の個人向けカードローンには貸金業法の総量規制が適用されず、借り入れ限度額が法律で定められていないからです。ローンなど借り入れを行う場合に適用される法律である貸金業法では、消費者金融機関などノンバンクが個人にお金を貸す場合、その利用者の年収の3分の1までしか無担保貸付できないと定められているため、ノンバンクのカードローンを利用して個人が借り入れを行う場合は、年収の3分の1の金額までしか借りることができません。
しかし、この貸金業法の総量規制は、銀行を対象としていないのです。そのため、銀行のカードローンでは他の金融商品に比べ比較的高い金利で個人に高額な融資をできるため、利益が出やすいとして、各行が様々なプランを用意して個人に積極的に融資を行ってきました。その結果、個人の支払い能力を超えた借り入れを行う債務者が増えてしまったため、日弁連から批判を受けたというわけです。
そのため、まずはメガバンクが融資額の上限を引き下げることや、収入証明書の提出が必要になる利用者層を拡大すると決め、審査を厳しく行うこととしたのです。まず、みずほ銀行が融資額の上限を引き下げました。従来は年収の2分の1としていましたが、総量規制のあるノンバンクと同じく、3分の1を上限にすると発表したのです。
また、みずほ銀行だけではなく三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行も、借り入れ時に収入証明書の提出を義務とする利用者層を拡大し、より厳格に審査を行うこととしました。三井住友銀行は従来300万円まで、三菱東京UFJ銀行は200万円までなら証明書不要で貸していましたが、いずれも4月から50万円を超える申し込みには収入証明書が必要になりました。
つまり、カードローン自体が使えなくなるわけではないのですが、総量規制の対象外のため、貸出を積極的に行っていた銀行の融資額が規制されるため、今までよりもカードローン申し込み時の審査が厳しくなるのではないか、ということです。
カードローンとクレジットカードの違い
金融機関などからお金を借りるカードローンとクレジットカードは、月にまとめて返済するという点では似ているため、何が違うのかが分かりづらいですよね。ここでは、カードローンとクレジットカードの違いをお話したいと思います。
キャッシングだけでなく、ショッピングにも利用するならクレジットカード
クレジットカードのメリットは、お金を借りるキャッシングだけではなく、ショッピングにも使えるところです。これがカードローンとの最大の違いと言えるでしょう。
例えばネットショッピングを利用する際にクレジットカードを登録しておけば、代引き手数料や払い込み手数料不要で楽に決済が完了しますし、外出先で現金を持ち歩かなくてもクレジットカードがあれば支払いを行うことができます。そのため、ショッピングに利用したいという方は、クレジットカードを持つ必要があります。
クレジットカードのキャッシングとカードローンの3つの違い
それでは、キャッシングを目的としてクレジットカードを利用する場合は、カードローンと何が違うのでしょうか。
上限金額
まず、申し込み可能な金額の上限が異なります。クレジットカードのキャッシング枠はどこもそれほど多くはなく、最大でも100万円程度です。
一方、カードローンは100万円のところもあれば1,000万円まで借りられるところもあり、カード会社によって幅広く料金が設定されています。特に銀行のカードローンには総量規制が適用されないため、上限を高く設定することが多かったのですが、今後は各行の融資削減のための方針により、上限額が減っていく可能性があります。この点ではクレジットカードのキャッシング枠に近くなると予想されます。
融資額
クレジットカードのキャッシングとカードローンは、融資額にも違いがあります。クレジットカードのキャッシングには、総量規制が適用されますから、年収の3分の1を超える金額の借り入れはできません。
一方、銀行のカードローンは総量規制の対象とならないため、年収の縛りなく融資を受けることができます。
しかし、ノンバンクの消費者金融などはクレジットカードのキャッシングと同じく、総量規制が適用されて年収の3分の1までしか借り入れをすることができません。また、銀行のカードローンについても、この度のメガバンクの融資規制を皮切りに、年収の3分の1という縛りを適用する銀行が増えてくるでしょう。
金利
金利については、クレジットカードのキャッシング枠の方が、カードローンよりも高めに設定されている傾向にあります。クレジットカードのキャッシングに適用される金利は大体18%前後となっており、通常20%前後の金利を用いる消費者金融機関と比べると若干低くなりますが、銀行のカードローンはノンバンクよりも金利を低めに設定していることが多く、クレジットカードと比べると5%前後は低くなります。カードローンは借り入れに特化したものですから、より借り入れをしやすいよう工夫した結果と言えるでしょう。
銀行のカードローンが使えなくなったらどうする?現金を得る方法2つ
銀行がカードローンの借り入れ上限を引き下げたことによって今まで以上に審査が厳しくなり、カードローンを気軽に利用することができなくなるかもしれません。では、銀行のカードローンでお金を借りられなくなったら、現金が必要な時は何に頼れば良いのでしょうか。おすすめ方法は、以下の2つです。
クレジットカードのキャッシングを利用する
クレジットカードは、申し込み時にキャッシング枠をつけていれば、指定された銀行やコンビニのATMで簡単に現金を引き出すことができます。ATMを使えるため、手軽さは銀行のカードローンに引けを取りませんが、上限金額があまり高くないため、高額の融資は受けられません。また、キャッシングの返済は自動的にリボ払いで行う設定になっているクレジットカードも多いですから、キャッシングを利用する前に返済方法についてよく確認しておきましょう。
消費者金融機関のカードローンを利用する
ノンバンクである消費者金融機関のカードローンを利用するのもおすすめです。消費者金融機関は総量規制の対象のため、年収の3分の1以下しか借りられないという縛りはありますが、銀行よりも審査が易しく、借り入れを行いやすいです。また、30日以内に返済をすれば利息が安く済むプランがあるなど、短期の借り入れ時にお得になるケースが多いです。
ただし、金利は20%前後と高いため、返済が長期間に渡ると支払う利息が増え、返済総額が増えてしまいます。消費者金融機関のカードローンを利用する場合は、給料日前に突然お金が必要になったけれど給料日後ならすぐに支払えるといった、短期間で返せる見込みのあるときだけにしましょう。
まとめ
メガバンクの融資規制によって、カードローンの使用を控えなければならない状況になるかもしれません。しかし、元はと言えば、支払い能力を超えた借り入れを行い、返せなくなったというケースが頻発したことでこの度の規制ができたのです。そのため、審査が厳しくなっても、きちんと返済できる範囲内で借り入れを行えば問題はありません。この度の銀行カードローンの規制を教訓とし、必要以上に借り入れを行わず、返済能力に応じたローンを利用しましょう。
関連ページ:債務整理の返済中・返済後でも審査の甘いクレジットカード会社なら新規で作れるの?
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