株の現金化で知っておきたいことは?手続きの方法や売却日数などを詳しく解説

株式投資では、安く買った株を高く売れば、儲けが出ます。

儲けを出すためにはこれから株価が上がっていく優良銘柄を選ぶことが大切ですが、売るタイミングを見極められるどうかも同じくらい大切です。

株を売却するタイミングをどうやって見極め、そしてどのような手続きを経て売却するのか、これから株式投資を始める初心者の方にもわかりやすく紹介します。

株を現金化する手続きの流れ

株を現金化する手続きの流れ

ネットで簡単に株式の売買ができるオンライン取引は、ネット証券が次々誕生したことで一般化し、従来の証券会社でもオンライン取引を導入するようになりました。

売却の流れは、証券会社によって操作方法や表示名が微妙に異なりますが、誰でも簡単に操作できるよう工夫されています。

ここでは野村証券のオンライン取引を例にとって説明します。

売却の流れ

  1. STEP1

    野村証券のオンラインサービスにログインして、「取引」⇒「国内株式」⇒「売り注文」と進みます。

  2. STEP2

    保有銘柄の中から、売却したい株式を選びます。

  3. STEP3

    注文画面から売り注文に必要な条件(売却株数や値段等)を入力します。確認画面が出ますので、間違いがないか確認し、注文ボタンを押します。

  4. STEP4

    「注文照会/訂正/取消」の画面で注文状況、結果などが確認できます。

    注文が成立すると注文状況が「約定済」に変わっています。

  5. STEP5

    売却した代金は売却が成立した日から3営業日目に野村証券の自分の株式口座に入金されます。

    入金された現金は、金融機関の自分の口座に出金することができます。

証券会社の中には、売買操作がスマホで簡単にできるアプリを導入している会社もあります。

また、従来の証券会社であれば、ネット取引以外にも、昔ながらの電話注文や窓口注文も利用できます。

中にはオンライン取引に抵抗がある方、やり方がわからないという方もいると思われますので、自分にとって利便性の高い証券会社を選ぶといいでしょう。

株の現金化はタイミングが大切

株の現金化はタイミングが大切

有望株を保有していても、売却のタイミングを見誤ってしまうと、期待していた利益を得ることができませんし、それどころか大きな損失を出してしまう可能性があります。

売り時はどのように判断したらいいのでしょうか。

いくつかのパターンで考えてみましょう。

値上がりしたら売る

購入した時点より株価が上がれば売る、そうすれば利益が出ますから、これは当然のことです。

しかし、「もう少し値上がりするのではないか?」とか「まだ上がりそうだから、あと1日様子を見てみよう」と、欲を出して判断を先延ばしにしたために、株価の下降が始まって売るタイミングを逃してしまうこともあります。

判断を狂わせないためには、「◯%値上がりしたら儲けが◯◯円出る。だから、ここで売ろう」と、確実に利益を手にすることができるラインをあらかじめ決めておくといいでしょう。

また、株式チャートを見て、

  • ぐいぐいと上昇トレンドに乗って値上がりしていた株価が、下降トレンドの様相を見せ始めた。
  • 直近2つの最安値の線を結ぶと右肩下がりになっていた。

という場合は、いずれも株価が上がり切って下降に転じた可能性が高いので、売却を検討しましょう。

※上昇トレンドとは

株式チャートが高値と安値を繰り返しながらジグザグに上昇していく状態。

※下降トレンドとは

株式チャートが高値と安値を繰り返しながらジグザグに下降していく状態。

値下がりしたら売る

購入した時点より株価が下がってしまった場合、株を手放す決断をするのはさらに難しくなります。

下がり続ける株式が再び値上がりに転じて、損益を取り戻すことができないか…そう期待して保有し続けてしまう、ということはよくあります。

しかし、何の根拠もないのに株価が下降する株式を保有し続けるのは、リスクでしかありません。

大きな損を出さないように「損切り」をした方が、傷は浅くて済むのです。

※損切り…処分売りともいい、購入時より価格が下落して損失が生じている場合に、長期保有しても値上がりする可能性は低いと判断して売却し、損失を確定させること。

「ここまで下がったら損切りする」「◯%下がったら売却する」というラインをあらかじめ自分で決めておけば、迷いなく売却することができます。

投資先が問題を起こしたら売る

SNSが発達し、コンプライアンス違反に厳しい目が向けられている現代社会では、投資先の企業やトップがスキャンダルや問題を起こすと、その事実はSNSを通してあっという間に世間に広がり、株価を下げるリスクになります。

コンプライアンス違反の事例としては、粉飾決算、業務文書の偽造・改ざん、個人情報漏洩、パワハラやセクハラ、長時間労働、業法違反、誇大広告・不当表示などが挙げられます。

日頃から経済ニュースなどをチェックして、投資先で何か問題が起きたら直ちに株を売却できるように動くことが大切です。

為替相場の変動、世界危機などで売る

経済のグローバル化で、株価は世界の動きと大きなつながりを持つようになりました。

為替相場の変動、海外で起きた大災害や政治不安などが株価に影響しています。

為替変動を例にとると、製品を海外で売る輸出型の企業であれば、円安ドル高は業績にプラスとなり、株価が上がります。

反対に、海外から仕入れた製品で商売をしている輸入型企業は、円安ドル高になると仕入れの経費が増えて業績悪化につながり、株価が下がります。

また、海外に工場を持つメーカーは、現地の政治不安で工場の稼働が止まると、製品を供給できなくなり業績が悪化し、株価が下がります。

逆に新興国の情勢が落ち着いて工場の進出が捗れば、メーカーの業績は伸びて、株価も上がります。

このように、経済のグローバル化で、国内株式であっても世界の動きにさまざまな影響を受けています。

常に為替相場や世界情勢をチェックして、投資先への影響を考え、売り時のタイミングを考えることが大切です。

お金が必要だから

「急にお金が必要になったから売る」というのも、株を売るタイミングの一つです。

住まいを購入する、子どもが進学する、病気をして働けないなど、大きな出費があるときに、株式を売却して資金に充てる必要が出るのは誰にでも起こり得ることです。

ただし、本来、株式投資は余裕資産で行うのが望ましいとされています。

急にお金が必要になったタイミングで、株式を売却してそれを充てるのは仕方ないことですが、利益が必ず出るというわけではありませんから、損をする覚悟が必要です。

番外編:AIが売り時をアドバイス

株式投資をAIがサポートしてくれて、各銘柄の買い時と売り時を教えてくれるサービスが始まっています。

AIによるサポートでは、直近20日とか1ヵ月という期間の株価の変動を見て、統計的に信頼できる結果を提供してくれます。

AIサポートを使えば絶対に株式投資が成功するというわけではありませんが、人間の感情が混ざった判断で誤った売買をしてしまう失敗は避けられます。

株の現金化で注意しておきたいこと

株の現金化で注意しておきたいこと

手数料について

株の売却には、売却手数料がかかります。

株式を売却した場合は、その金額がそっくり証券口座に振り込まれるわけではありません。

実際に入金される額は、売却代金から手数料等を引いたものになります。

手数料は証券会社により、また株の種類や発注方法により異なります。

証券会社に証券口座を開設する際に、確認しておくようにしましょう。

税金について

株を売却して利益(譲渡益)が出た場合、税金がかかります。

税率は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)となっています。

証券会社に開設する口座によって、確定申告が必要な場合と不要な場合があります。

【一般口座】

自分で譲渡損益の計算をして確定申告を行います。

【特定口座(源泉徴収なし)】

譲渡損益の計算は証券会社が行ってくれますが、確定申告は自分で行います。

【特定口座(源泉徴収あり)】

譲渡損益の計算を証券会社が行ってくれると同時に、税金も源泉徴収されますので、確定申告する必要はありません。

株式投資を初めて行う方などは特定口座(源泉徴収あり)を選ぶとよいでしょう。

NISA口座での売却

NISA (少額投資非課税制度)は、売却益にかかる税金(20.315%)が5年間、年間120万円まで非課税になる制度です。

NISAで得た利益は、一般の投資と同じく自由に現金化できます。

ここで注意しておきたいのが、売却後のNISA枠です。

120万円の枠のうちの一部を売却したからといって、NISA枠が空いて新たに非課税で投資ができるわけではありません。

また、一般の株式投資では投資で損失が出た場合、課税対象の所得との間で損益通算ができ、課税対象を減らすことができます。

同じ年に損益通算できる所得がない場合でも、3年間のうちに得た収益から損失を引いて課税対象を少なくする繰越控除ができます。

ところが、NISA枠はもともと非課税なため、損益通算や繰越控除ができません。

NISA枠で保有している株を損切りで売却して現金化しても、節税をすることはできませんのでその点は留意してください。

現金化の日数について

売却の注文を証券会社に依頼してから、株が売却されて現金が証券口座に入金されるまで、通常2~3日かかります。

証券口座に入金されると、自分の銀行口座などに出金することができます。

15時までに出金依頼をすれば、当日中に銀行に振り込まれますが、15時以降の依頼については翌営業日の入金になります。

証券会社の中には、ATMで証券口座から直接現金を引き出せたり、外貨での送金が選べたりするところもあります。

まとめ

株の現金化は、売るタイミングを見極めることが大切です。

利益を出そうとして、あるいは損失を取り戻そうとして、売却を即断できなかったために投資を失敗してしまう…ということも起こり得ます。

そうならないためには、あらかじめ自分の中で売却するラインを決めておくといいでしょう。

株の売却には手数料がかかり、売却益には税金がかかりますので、売却した金額がそっくり入ってくるわけではありません。

売却を依頼してから現金が口座に入金されるまでには日数がかかりますので、急いで現金化したいという場合は要注意です。

また、NISA口座は一般の投資と異なるルールがあるので注意する必要があります。

これから投資を始めようという方はこれらのことに留意して行ってください。