クレジットカードの支払いを滞納したまま放置していると、カードの利用を停止される以外にも、様々なリスクがあることをご存知でしょうか?
クレジットカードの支払いができなくなったら、一刻も早く弁護士・司法書士に相談して、債務整理手続きを開始しましょう。
債務整理を行うと、カード会社からの催促に脅かされる心配がなくなり、法的な手続きによって借金の負担を軽くすることができます。
ここでは、クレジットカードの滞納を債務整理で解決する方法について、分かりやすく説明していきます。
クレジットカードの滞納が続くとどうなる?
クレジットカードの滞納を放置し続けていると、以下のようなデメリットがあります。
遅延損害金が発生する
クレジットカードの返済が一日でも遅れると、「遅延損害金」という賠償金を請求されます。
滞納日数が増えるほど遅延損害金の負担は重くなってしまうので、なるべく早く返済するようにしましょう。もし、返済ができない状況になっているなら、債務整理を行いましょう。
遅延損害金は、以下の計算式で求めることができますが、正確な遅延損害金はカード会社に問い合わせて確認するか、ネット上の滞納金シミュレーターで計算してみましょう。
元金×キャッシング枠(またはショッピング枠)の年率×滞納日数÷365日
電話や訪問による支払い催促が来る
支払い滞納から数日~1ヶ月経つと、カード会社から支払い催促の電話がかかって来るようになります。
電話に出たくないからといって無視していると、勤務先にまで電話がかかってきたり、自宅まで押しかけられたりすることもあります。
よって、クレジットカードの支払い滞納を家族や勤務先に知られたくない人は、注意が必要です。
支払い催促が激しくなる前に、カード会社に返済期日を延長してもらえないか相談してみましょう。
クレジットカードを強制解約される
支払い滞納から約1ヶ月間は、クレジットカードの一時的な利用停止措置で済みますが、2~3ヶ月以上滞納が続くと、カードを強制解約されてしまいます。
一度強制解約になったカード会社では、それ以降新しいクレジットカードの申込みができなくなる可能性がありますので注意しましょう。
ブラックリストに登録される
クレジットカードの支払いを60日以上に亘って滞納したり、軽い延滞を連続して何回も繰り返したりしていると、信用情報機関のブラックリストに登録されます。
ブラックリストに登録されると、その後5年~10年間はクレジットカードの申込み・更新ができなくなってしまいます。
加えて、銀行・消費者金融からの借入れや、住宅ローン・カーローンの申込み、身近なところでは携帯端末の分割払い契約なども困難になります。
残債を一括請求される
支払いの滞納から約3ヶ月以上経過すると、カード会社から残債(残りの返済額)を一括請求されます。
分割返済すら困難な状況ですぐに一括返済をするのは、ほとんどの場合不可能でしょう。
借金を作って一括返済に充てようとしても、支払い滞納が原因でブラックリスト入りになっていると、新たな借金はできなくなってしまいます。
そうなると、ボーナス等でまとまったお金が入ってから一括返済を行うとか、親族や知人にお金を融通してもらうといった措置が必要になります。
財産の差し押さえを受ける
カード会社からの支払い催促を無視し続けていると、裁判所からも督促状が来るようになります。
裁判所からの督促状には法的効力があるため、支払いに応じなければ財産(給与や銀行預金、自宅など)の差し押さえが強制執行されてしまいます。
クレジットカードの債務整理を行うべきケースとは?
キャッシュレスで便利に買い物ができる今の社会では、クレジットカードの滞納で破産する人が増えています。
カード払いは気軽に利用できる分、借金をしているという感覚が薄れ、気づいたら手遅れになっているというケースが目立ちます。
すぐにでも債務整理を開始するべきなのは、以下のようなケースです。
- クレジットカードの支払いを1ヶ月以上滞納しており、この先も返済が困難である
- カード会社から一括請求され、支払いができなくなってしまった
- 金利の支払いに追われて、元本の返済がなかなか終わらない
これらのケースを放置していると状況がさらに悪化するだけなので、債務整理の実績が豊富な法律事務所に早めに相談しましょう。
弁護士・司法書士のサポートがあれば、困難な借金問題もスムーズに解決できます。
カード会社への相談で解決できることもある
1~2回程度の軽い延滞であれば、カード会社に相談することで支払いを猶予してもらえる可能性があります。
すぐに支払いができないときは、ボーナス一括払い(ボーナス月にまとめて支払う方法)に変更できないか問い合わせてみましょう。
ボーナス一括払いが利用できなければ、リボ払い(毎月一定額を返済する方法)に変更するという手もあります。
ただし、リボ払いには年利12~15%の金利負担が発生するので、早めの完済を心がけましょう。
まだブラックリストに登録されていなければ、低金利のカードローンを申込んで返済に充てると、リボ払いよりも金利負担を抑えることができます。
クレジットカードの債務整理を行うメリットとは?
カード会社に相談しても解決しなかったときは、弁護士・司法書士に債務整理を依頼しましょう。
クレジットカードの債務整理を行うと、以下のようなメリットがあります。
カード会社からの催促が止まる
債務整理の手続き中は返済が中断されるので、カード会社からの支払い催促が止まり、気持ちにゆとりが持てるようになります。
ただし、クレジットカードの支払いを銀行引き落としに設定している場合は、手続き開始から引き落とし中止までにタイムラグが生じるので注意しましょう。
引き落とし日が来る前に、銀行口座残高をゼロにしておくことをおすすめします。
金利と遅延損害金をカットできる
クレジットカードの返済で苦しむ原因は、返済期間が長期になるほど金利と損害遅延金が上乗せされ、総返済額が大きく膨らんでいくからです。
銀行・消費者金融のカードローンは年利3%~15%が平均的ですが、ほとんどのクレジットカードは年利15%~18%と高金利なので、金利負担は相当に重くなります。
遅延損害金に至っては、なんと年利20%もの金利設定になっています。
債務整理を行えば、弁護士にカード会社と交渉してもらって、金利と損害遅延金をカットすることができます。
その後は元本だけを計画的に返済していけば良いので、完済の目処が立つようになり、経済的にも心理的にもずっと楽になるでしょう。
無理のない返済方法に変更できる
カード会社から残債を一括請求されてしまったとしても、債務整理手続きを開始すれば、分割払いに変更することができます。
カード会社との交渉で借金を減額した後は、現在の支払い能力に応じて月々の返済額を調整できるので、無理なく返済を続けられます。
返済期間は3年~5年以内が目安ですが、さらに返済が長引きそうなら期間延長もできるので、弁護士に相談してみましょう。
借金の大幅減額または免除が可能になる
返済が著しく困難な状況であれば、「個人再生」または「自己破産」という手続きにより、借金の大幅減額か、免除が可能になります。
個人再生では5分の1~10分の1程度まで元本の減額が可能で、残りの元本は3年~5年かけて分割返済を行います。
自己破産では元本が全額免除されますが、ほとんどの財産を処分して、債権者に弁済を行なければなりません。
過払い金を取り戻せる場合がある
過払い金とは、利息制限法が定める上限金利(貸付額に応じて15~20%)を超えて払い過ぎてしまった金利のことです。
クレジットカードのキャッシング枠に関しては、過去にグレーゾーン金利(利息制限法の上限は超えるが、出資法の上限は超えていない金利)が横行していた時期があり、金利の払い過ぎが問題になっていました。
過去に高すぎる金利を支払っていた人は、債務整理によって過払い金を取り戻すことができます。
取り戻した過払い金は返済に充てられるので、元本の実質的な減額になります。
家族や勤務先に知られず手続きができる
債務整理手続きのうち、「任意整理」については家族や勤務先に知られず手続きが可能です。
任意整理を依頼された弁護士には守秘義務がありますので、債務整理を行ったことが公になる心配はありません。
ただし、「個人再生」と「自己破産」については手続きが煩雑で長期に及ぶため、家族の協力と理解が必要になる場合があり、債務整理をバレずに行うのは困難です。
ショッピング枠も債務整理の対象になる?
クレジットカードのキャッシング枠だけでなく、ショッピング枠も債務整理の対象になります。
ショッピング枠はリボ払いにすると年率12~15%の金利が発生し、支払い負担が重くなるので、債務整理で金利をカットできる恩恵は小さくありません。
例えば、100万円のショッピング枠残高を、毎月2万円ずつリボ払い(年率15%)で返済した場合、約30万円もの金利が発生します。
債務整理で金利カットに成功すれば、この約30万円については支払わなくてもよくなります。
任意整理を行う場合、元本の減額は原則として不可能なので注意しましょう。
※キャッシング枠については、過払い金が発生したときに限り元本の減額が可能です。
キャッシング枠だけを整理対象にして、ショッピング枠は残したいという人もいるでしょう。
しかし、債務整理では必ずキャッシング枠とショッピング枠の両方を整理対象にする必要があり、どちらかの枠を残すことはできません。
また、ショッピング枠はキャッシング枠と異なり、過払い金が発生しません。
ショッピング枠の上限金利は15%なので、利息制限法の上限金利(15%~20%)を超えることがないからです。
ですので、ショッピング枠の元本を過払い金請求によって減額するのは不可能になります。
ですが、キャッシング枠で発生した過払い金によって、ショッピング枠の元本を減額することは可能です。
クレジットカードの債務整理を行う方法は3種類
債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産という3種類の手続きがあります。
手続きの種類によって借金の負担を減らす効果が異なりますが、その効果が大きいほどリスクも高くなります。
各々のリスクに照らした上で、返済能力や債務の状況を考慮し、どの手続きが最適なのかを慎重に判断しなければなりません。
各手続きについて、それぞれどのようなケースで適用されるのかを説明します。
任意整理
クレジットカードなど一部の債務だけを整理対象にする場合は、任意整理が適用されます。
任意整理では、金利・損害遅延金のカットや過払い金の返還、長期分割払いへの変更などが可能です。
債権者との交渉には裁判所を介さないので、手続きが簡便であり、費用も少額で済むのがメリットです。
借金を減額する効果は高くありませんが、ブラックリストに登録される以外、生活に支障が出ることはほとんどありません。
個人再生
クレジットカードの多重債務に陥るなど、複数の借金を抱えている場合は、多くのケースで個人再生が適用されます。
個人再生では、借金を5分の1~10分の1程度に減額することが可能で、減額後の借金は長期分割返済を行います。
原則として全ての債務が整理対象になりますが、一定の条件を満たすと一部のローンを残すことができるので、自宅や車を手放さずに債務整理が可能です。
ただし、必要書類が多く手続きが煩雑になる上、弁護士や裁判所に支払う費用は高額になります。
自己破産
クレジットカードの返済を継続できる見込みが全くない状況であれば、自己破産が適用されます。
自己破産を行うと、クレジットカードを含め全ての借金を全額免除することができます。
しかし、家や車など大部分の財産を手放さなければならないため、もっともリスクの高い方法となります。
また、借金の原因が浪費やギャンブルといった場合は、自己破産をしても借金の免除が認められません。
債務整理を行う際の注意点
「どうせ借金を減額・免除できるなら、クレジットカードを全額使い切ってから債務整理をしよう」と考える人もいるでしょう。
ですが、個人再生と自己破産の場合、手続き開始の前か後かは問わず返済能力を超えた借金をすると、「詐欺破産罪」に該当する恐れがあります。
詐欺破産罪に該当すると、10年以下の懲役刑もしくは1,000万円以下の罰金刑に処せられるので、不必要な借金は絶対に避けましょう。
また、任意整理の場合でも原則として元本は返済しなければならないので、カードを使い切っても債務が増えるだけです。
債務整理を行った後の生活への影響は?
債務整理を行うとブラックリストに登録され、整理対象のクレジットカードは強制解約されてしまい使えなくなります。
債務整理の対象から外したクレジットカードも、更新日が来ると使えなくなってしまうので注意してください。
さらに、その後5年~10年間はクレジットカードの新規申込みと更新ができなくなり、その他の借入れやローンの申込みも困難になります。
支払いを滞納し続けても、債務整理を行っても、ブラックリストに登録されてしまう事態を避ることができないのであれば、債務整理を行って借金の負担を減らすのが望ましい選択と言えるでしょう。
現金化をしたクレジットカードは 債務整理ができないことがある
債務整理の3つの種類 任意整理と個人再生 自己破産
債務整理には大きく分けて3つの方法があります。
こちらは借金の利息をカットして元本の返済に専念していく方法です。
リボ払いやカードローンなど高利の借金が嵩んでしまった場合、元本の返済だけで済むために早期に完済することが期待できます。
これは企業再生の一環として行われる民事再生の個人版にあたるものです。
貸し手であるクレジットカード会社や銀行、ローン会社と交渉して利息の全カットと元本の一部カットを行い、3~5年以内で完済していけるよう再生計画を作っていきます。
これは裁判所へ破産を申し立てることにより、借金を全て帳消しにする方法です。
官報に名前が掲載され、5~10年間は新規の借り入れができなくなるデメリットがありますが、借金の返済を今後行わないで済むことから、最も効果の大きな債務整理の方法として広く認知されています。
クレジットカード現金化を行うと 自己破産の免責ができなくなる
しかしクレジットカード現金化を行った場合、3つ目にご紹介した自己破産を債務整理の方法として選択することはできません。
その理由は、自己破産を扱う法律である破産法にあります。
破産法の第252条では、借金を帳消しにする「免責」に関する規定があります。
その中では「信用取引により商品を買い入れて これを著しく不利益な条件で処分したこと」があった場合、免責ができなくなると記されているのです。
クレジットカードの現金化はこれに該当してしまうため、仮に自己破産を申請したとしても裁判所から許可を得ることができず、結果として債務整理そのものができなくなってしまいます。