小切手の現金化で知っておきたいことは?必要なもの、日数、換金場所など詳しく解説

小切手は現金での売買しかなかった時代に、高額の決済を安全に行うための手段として生まれました。

クレジットカード払い、電子マネー払いなど安全で便利な決済手段が次々誕生する現在においても、商取引の場においては小切手が使われています。

小切手を手にしたときに戸惑わないよう、小切手を現金化する方法、現金化までにかかる日数や現金化に必要なものなどを紹介します。

小切手を現金化する方法と注意点

小切手を現金化する方法と注意点

小切手は多額の支払いが発生する取引において、現金に変わる決済手段として用いられています。
小切手を使って支払う側を振出人、小切手を受け取り現金化する側を持参人と呼びます。

振出人は当座預金口座を開設している銀行で発行してもらった小切手帳を使い、そこに必要事項を記載して持参人に渡します。

持参人は受け取った小切手を次の手順で現金化します。

1.記載内容の確認

小切手を受け取ったら以下の項目に間違いがないか確認しましょう。

金額

金額に間違いがないかを確認しましょう。
もし金額が間違っていた場合、二重線や訂正印で書き直したものは無効になってしまいますので、必ず振出人に新しい小切手を振り出してもらいます。

振出日

振出人が小切手を持参人に渡した(振り出した)日を振出日と呼びます。
小切手は振出日を基準に現金化できる期間が決まっていますので、振出日が受け取った日になっているか確認しましょう。

なお、先日付小切手といって、将来の日付を振出日として記載されているものがあります。
これは、振出人が振出日に指定した日付以降に現金化を希望している場合に使われます。

金融機関名

支払人として記載された金融機関名と支店名を確認しましょう。
小切手の用紙が古いものだった場合、発行した金融機関の名称が合併などで変わっていたり、支店が統廃合されてなくなっていたりして、その名称が存在していないということがあります。

もし、名称が変わっている場合は金融機関に問い合わせて、小切手が使えるかどうか確認しましょう。

裏書の確認

裏書きとは、小切手の裏面に書かれている内容のことです。
小切手は譲渡が可能です。

受取人が指定してある小切手を譲渡する場合、表面に記載された受取人の名前が、裏面の第一裏書人の記名捺印と一致していなければなりませんし、次に譲渡する人の名前も書かれていなければなりません。

譲渡された小切手はまた譲渡することも可能で、そのように何人もの手を経由した小切手を受け取った場合は、裏書きの名前が連続しているかを確認する必要があります。

2.金融機関に小切手を持ち込む

小切手には、支払人として支払いを行う金融機関名(支店名も含む)が記載されています。
支払人である金融機関は持参人が小切手を持ち込むと、小切手に記載されている金額を振出人に代わって持参人に支払います。

持参人は直接、支払人の店舗に出向くこともできますが、自分の取引金融機関へ行って取立委任をすることも可能です。

取立委任をすると、自分の取引金融機関が支払人に対して支払いを取り立ててくれます。
取立委任をすると、銀行間での取引に時間を要するため、即日現金化はできません。

3.現金で受け取るか口座に入金する

小切手の種類によっては、支払人として指定された金融機関の指定店舗に小切手を持参すれば、即日現金を受け取ることが可能です。

また、銀行口座への入金という形でしか受け取れない小切手もあります。
小切手の種類によって、受け取り方法や現金化できるまでの日数などが異なりますのでご注意ください。

小切手の種類と特徴、現金化の方法

小切手の種類と特徴、現金化の方法

小切手の種類と特徴、現金化の方法を紹介します。

持参人払小切手

持参人は指定されておらず、どこの金融機関でも現金化が可能です。
どこの金融機関に持ち込んでも、窓口で即日現金化してもらえます。
便利な反面、盗難や紛失によって不正に現金化される危険があります。

記名式小切手

記名式小切手は、小切手に書かれた「上記の金額をこの小切手と引き換えに持参人にお支払いください」という文言の、持参人が二重線で消され届出印が訂正印として押され、特定の人や会社名が書かれている小切手です。

記載された持参人以外の人が持ち込んだ場合現金化はできませんが、持参人であればどこの金融機関でも最短即日現金化が可能です。

記載されていない人が持参しても現金化することはできないため、盗難や紛失の際に不正な現金化を防止することができます。

線引小切手

小切手に2本の平行線が引かれた小切手が線引小切手です。
線引小切手には以下の2つの種類があります。

一般線引小切手

一般線引小切手は、2本の平行線の間に銀行またはBANKと書かれている小切手です。

この小切手はどこの金融機関に持参しても構いませんが、現金で受け取ることはできず、口座入金にのみ対応しています。

その場で現金化ができない不便さがありますが、取引の履歴がわかるので不正を防止できます。

定線引小切手

2本の平行線の間に特定の金融機関の名前が書かれた小切手を特定線引小切手といいます。
この小切手は記載された金融機関でしか換金できず、受け取る方法も口座入金に限られます

特定線引小切手も一般線引小切手と同様、現金で受け取ることはできませんが、取引履歴が残るため不正防止に繋がります。

先日付小切手

先日付小切手は、振出日が将来の日付になっている小切手です。

小切手を発行したその日に当座預金が不足している場合などに発行されるものですが、法的な根拠があるわけではなく、振出日より前でも振出人の当座預金に残高があれば現金化が可能です。

ただし、残高がなければ振出人は不渡りを出すことになります。
また、残高があって支払いを受けても、その後の振出人の資金繰りに狂いを生じさせてしまう恐れがあるため、慎重な判断が必要です。

自己宛小切手

自己宛小切手は、支払金融機関が振出人となり、自分自身を支払人として振り出した小切手のことです。

自己宛小切手には厳密にいうと2種類あり、振り出した金融機関が自分自身の店舗を支払人としているものを預金小切手、他店舗や他の金融機関を支払人としているものを送金小切手といいます。

自己宛小切手は、本来の振出人である顧客が金融機関の窓口でお金を渡してその場で作ってもらうもので、顧客は当座預金の口座を開設する必要がありません。

自己宛小切手は不渡りになる危険性が低いという特徴があります。
また、自己宛小切手を現金化する際は、口座入金を依頼することになりますので、日数はかかりますが不正を防止できます。

小切手の現金化で注意しておきたいこと

小切手の現金化で注意しておきたいこと

小切手を現金化する際必要なものは?

額面が10万円を超える金額を現金で受け取る際には、本人確認が必要です。
また、記名式小切手を現金化する場合も、記載された本人であることを証明するために本人確認が必要です。

本人確認書類として認められるものは、運転免許証、運転経歴証明書、パスポート、年金手帳、被保険者証、在留カードなどです。

法人の場合は、登記事項証明書、印鑑登録証明書等と、手続きに出向く人の本人確認書類も必要です。

手続きをスムーズに進めるために、小切手を持ち込む金融機関が認めている本人確認書類について、事前に確認しておきましょう。

本人確認書類として認められるものについては、各金融機関のホームページに記載されています。

手数料について

小切手の支払人にとして記載されている支払金融機関に持ち込んで現金化する場合、基本的に手数料はかかりません。

ただし、支払人に金融機関名だけでなく店舗まで指定されている場合があります。そのような小切手を同じ金融機関の別の店舗に持ち込む場合や、別の金融機関に持ち込む場合は手数料がかかります。

手数料をかけたくないのであれば、記載された店舗まで足を運ぶ必要があります。
手数料は1000円前後ですが、金融機関により異なりますので、事前にホームページで確認しておきましょう。

支払呈示期間について

小切手は、金融機関に呈示する(小切手を支払人に持参し示すこと)期間が決まっており、小切手振出日の翌日から10日間となっています。

もし、呈示期間の最終日が金融機関の休業日であった場合は、呈示期間は1日延長されます。
しかし、これは最終日だけの特例で、10日間の最初や途中に休業日があっても、それがたとえ連休だとしても呈示期間は延長されませんので注意が必要です。

有効期限について

小切手の有効期限は、つまり支払呈示期間は小切手振出日翌日から10日間です。
しかし、それを過ぎてしまったからといって、現金化できないわけではありません。

遡求権または償還請求権といって、呈示期間終了後6ヵ月は使用することができます。
この6ヵ月を過ぎると時効が成立してしまい小切手は使えなくなりますが、その場合も再発行をすることが可能な場合がありますので、金融機関あるいは振出人に相談してみましょう。

郵便局での小切手の現金化について

郵便局でも現金化はできるのか?と疑問に思う人が多いようですが、ゆうちょ銀行でも国内小切手の取り扱いをしています。

したがって、ゆうちょ銀行を併設した郵便局であれば、他の金融機関と同じく小切手の取り扱いが可能です。

現金化にかかる日数について

小切手を少しでも早く現金化したいなら、窓口で手続きするのがいいのですが、小切手の種類によっては口座入金でないと受け取れない場合があります。

口座入金の場合、預入日から払戻可能日までに、1〜3日程度の日数を必要とすることがあります。

たとえば、ゆうちょ銀行の小切手利用上の留意点には以下のように記載してあります。

(小切手を)貯金への預入金にあてる場合、ゆうちょ銀行において決済等を終えた後に払い戻すことができますが、決済等の処理のため、払戻可能日(予定日)までは、預入日との間に3営業日必要です

現金化を急いでいる場合は、この点に留意して早めに金融機関に持ち込むようにしましょう。

まとめ

小切手を現金化する方法について紹介しました。
小切手は原則、振出日翌日から10日以内に現金化をする必要があります。

小切手の種類によって、現金化の方法や現金化までの日数が異なりますし、本人確認書類など必要なものも違います。

また、利用店舗によっては手数料がかかります。
これらのことを理解して、実際に小切手を手にしたときは冷静に現金化を進めてください。