後払い現金化は審査がゆるく誰でも利用できる現金化の方法といわれる一方で、個人事業主やフリーランス、専業主婦や無職の人は審査に落ちて利用できないといいます。
無職や専業主婦が利用できないというのはある程度納得できますが、個人事業主は収入があるのになぜ利用できないのでしょうか。
個人事業主が利用できない理由と、個人事業主でも現金化できる方法について紹介します。
個人事業主は後払い現金化できるのか?
後払い現金化の利用に際しては、消費者金融でお金を借りたり、クレジットカードを作成したりする時とは違い、信用情報機関に照会されて過去の延滞履歴等をチェックされる心配はありません。
そのため、借入額が多くてこれ以上どこの金融業者からも借金できないという人や、過去に延滞履歴がある人が、闇金業者に借りるよりはましだろうと後払い現金化を利用しています。
しかし、後払い現金化業者にも独自の審査があり、審査なしで利用できるわけではありません。
もし、審査不要とか審査がゆるくて誰でも利用可能という業者があったら、それが闇金業者の可能性が高いので、利用はおすすめできません。
後払い現金化を利用するためには、正規雇用で働いていて継続的に収入が見込めることが条件となり、審査ではその条件を満たしていることを証明するために次のような書類の提出が求められます。
- 会社の名刺や社員証の写真
- 健康保険証の写し
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など)の写し
- 本人確認書類を持った自撮写真
- 直近2〜3ヵ月分の給与明細書の写し
- 直近2〜3ヵ月分の通帳に記載されている入出金明細がわかる部分の写し
この審査で、会社勤めではなく、個人事業主やフリーランス、自営業者であることが判明すると、利用を断られてしまいます。
「もう10年以上、個人事業主として稼いで、家族を養ってきた」
「フリーランスだが、継続的に同じクライアントから仕事をもらって収入は安定している」
「脱サラして、会社勤めの同期より高収入だ」
このように会社勤めよりも稼ぎがあると自負していても、後払い現金化ではいずれも正規雇用の人より職を失い収入を絶たれる可能性が高いとみなされて、申込みを受け付けてもらえません。
後払い現金化の仕組みと個人事業主が利用できない理由
後払い現金化は利用申し込みをし、必要書類を提出して業者の審査に通ったら、現金化業者が指定した商品を後払いで購入します。
すると、「買物代行費」「レビュー投稿の報酬」「購入特典」といった名目で、商品代金から手数料を引いた現金がすぐに振り込まれます。
そして、利用者は商品代金を業者が指定する支払い日に業者の銀行口座に振り込みます。
後払い現金化は、表向きは商品の売買ですが、見方を変えれば融資と同じです。
商品を買った体を装い商品代金から利息(手数料)を引いた額の融資を受け、返済日(支払日)に融資された金額に利息(手数料)をプラスした返済金(商品代金)を返済します。
現金がすぐに必要だが、審査に通らず借金ができない、クレジットカードも使えないという人にとっては便利な現金化の方法です。
しかし、このような仕組みになっているため、業者側はいくつかのリスクを抱えています。
クレジットカード決済ではないため、利用者に代金を踏み倒される心配がある
クレジットカード現金化はクレジットカード決済で商品を購入するため、利用者に支払い能力がなくてもクレジットカード会社が代金を立て替えてくれ、利用者への請求をしてくれるので、代金を取りっぱぐれる心配はありません。
しかし、後払い現金化はクレジットカード会社を介さず直接利用者と取引をするため、利用者に支払い能力がないと代金を踏み倒される危険があります。
担保がないため、損害をそっくり被ることになる
後払い現金化は銀行ローンのように担保の設定がありませんし、質預かりのような質草もありません。利用者が支払いできなくなっても、現金化できる担保がないため、業者は大損してしまいます。
こうしたリスクがあるため、後払い現金化を利用できるのは、原則として正規雇用で安定した収入が将来的に見込まれる人となっています。
毎月、給与の振り込みがあることが担保の代わりになっているため、無職や専業主婦の人はもちろんですが、収入が安定しない個人事業主やフリーランスの人は利用できません。
これが、後払い現金化を個人事業主やフリーランスの人が利用できない理由です。
個人事業主におすすめの現金化方法は?
後払い現金化は正規雇用の人以外は原則利用できませんが、その代わりに個人事業主、フリーランス向けの請求書買取サービス(ファクタリング)というものがあるので紹介します。
個人事業主と請求書
個人事業主とは、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人のことで、フリーランスも個人事業主に含まれます。
税務署に「開業届」を提出することで、個人事業主として独立したことになります。
個人事業主になると、会社組織に所属していた頃とは違って、仕事を得るための営業、どのくらいの金額でいつまでに納品できるか見積もりをし、依頼を受けた後は契約、そして代金の請求、支払いの確認とあらゆることを自分の責任で行わなければなりません。
個人事業主が利用できる請求書買取サービスでは、個人事業主が作成した請求書を使用しますが、中には請求書を発行しないという個人事業主の人がいるかもしれません。
請求書は法律で作成が義務づけられているものではありませんが、顧客から請求書の発行を求められる場合があるので、作成するに越したことはありません。
また、個人事業主が行う確定申告(青色・白色申告)では、請求書の写しを提出する必要はありませんが、5年間保管しておくよう定められています。
請求書の発行には次のようなメリットがあります。
請求書発行のメリット
入金処理がスムーズになる
請求書には、いつまでにどの口座にいくら振り込むかが記載されており、これを取引先に提出することで入金処理をスムーズに行うことができます。
トラブルが回避できる
仕事を完了した後で、顧客との間で契約金額や支払い日等についての認識がずれていることがわかり、時としてトラブルになることがあります。
事前に請求書を作成して提出することで、支払いについて共通の認識を持つことができるので、トラブルを回避できます。
請求書買取サービスの仕組み
請求書買取サービス(ファクタリング)とは、個人事業主が取引先に発行した請求書を買取業者が買い取り、請求書に記載された請求金額から一定の手数料を差し引いた額を支払い日よりも前に現金化してくれるものです。
請求書に記載した支払い日までまだ間があるが、その前に現金が必要という時にすぐに現金化できる便利な手段です。
請求書買取サービスは、ファクタリングともいい、2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの2つの方法があります。
2者間ファクタリングの流れ
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STEP1
利用者が現金化業者に請求書を譲渡し、代わりに現金化業者は請求書の金額から手数料を引いた金額を利用者に入金します。
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STEP2
取引先が利用者に請求書の金額を入金します。
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STEP3
利用者が受け取った金額をそっくりそのまま現金化業者に入金します。
3者間ファクタリングの流れ
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STEP1
利用者、取引先、現金化業者の3者間で契約を締結します。
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STEP2
利用者が現金化業者に請求書を譲渡し、代わりに現金化業者が請求書の金額から手数料を引いた金額を利用者に入金します。
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STEP3
取引先が現金化業者に請求書の金額を入金します。
2者間ファクタリングであれば、取引先に請求書の譲渡を知られずに済みますが、3者間ファクタリングの場合は取引先に知られてしまい、資金繰りに困っているのではないかと疑念を抱かれ信頼を失う可能性があります。
ただし、2者間ファクタリングの手数料の相場は10〜20%と比較的高く、また審査が厳しいのに対して、3者間ファクタリングは手数料の相場が1~9%と低く、審査もゆるくなっています。
もともと、事業者間で債権を譲渡することは法律で認められていますが、これを行う業者は貸金業登録を受けていなければなりません。
中には貸金業登録をしていない業者が請求書買取サービス(ファクタリング)を装って、高い手数料を取って貸し付けを行っている場合があり、手数料を利息とみなすと法定利息をはるかに超える金額になる場合があるので注意が必要です。
また、ファクタリングであっても、貸し付けと同様の機能を有していると思われるようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります。
たとえば、譲渡した請求書の集金ができなかった場合に請求書を買い戻すように求められたり、利用者自身の資金で現金化業者に支払いするように求められたりするのなら、その業者は貸金業者に該当します。
まとめ
個人事業主やフリーランスの人が後払い現金化を利用するのは難しく、もし利用可能という業者がいたらそれは闇金業者の可能性があり、利用するのは大変危険です。
闇金業者は支払いの完済を最初から当てにしておらず、支払遅延料という名の利息で稼ごうとしているので、個人事業主でもフリーランスでも、場合によっては無職や専業主婦の人でも審査を通して利用させているのです。
個人事業主やフリーランスの人向けには、請求書買取サービス(ファクタリング)がありますが、これも現金化サービスを装った貸し付けの可能性があります。
資金繰りに困っている利用者の足元を見て、法外な利息を取る闇金業者が関わっている場合がありますので、利用に際しては慎重を期す必要があります。
身内から融通してもらう、クレジッカードのキャッシングや消費者金融を利用する、クレジットカード現金化などもっと安全な現金化策を考えて、事業を安心して継続していけるように資金繰りを見直してみましょう。